1.ひとりきり

作詞:南こうせつ
作曲:南こうせつ

鳥がないて 川が流れて
野山は今 花が咲き乱れ
汽車はゆくよ 煙はいて
トンネル越えれば竹中だ

こんな楽しい夢の様な
こんな素敵なところは
もう今はない もう今はない
もう今はない 今はない ひとりきり

太鼓が響き 御輿がくり出し
いよいよ待ちに待ったお祭りだ
親戚が集まり酒を呑んで
今年は 豊年だ

こんな楽しい夢の様な
こんな素敵なところは
もう今はない もう今はない
もう今はない 今はない ひとりきり


2.田中君じゃないか

作詞:伊勢正三
作曲:南こうせつ

一人で歩いてたら 声をかけられた
誰かと思ったら 田中君じゃないか
何となくダブル背広が 板についてるね
なんだってもう君は 課長だって本当?
笑顔で別れたけれど 後に残るわびしさ

住みなれた四畳半の 裸電球を
めがけてゴムをはじく あざやかなこの手つき
財布の中を見たら 百円玉三つ
これでは今夜もまた ラーメンライスなのか
気楽なものだけれど むなしいその日の暮らし

寝むたい目をこすって 出かけて行きます
八時半の電車に乗る いつものあの娘見たさに
真白なマンションの ドアをあけたとたん
まぶしいくらいかわいい妻が むかえてくれる
どうかこんな夢だけでも 見せて欲しい気安めに


3.きっぷ

作詞:山田つぐと
作曲:南こうせつ

手持ちの金で 買えるきっぷは
どこまでゆくのか 僕は知らない
そこに何があるかも 僕は知らない
今の頼りは この一枚の きっぷだけ

夜行列車は 真暗らやみさ
ガタゴト走る 僕を乗せて
そこに何があるかも 僕は知らない
今の頼りは この一枚の きっぷだけ

僕の可愛い あの娘の事は
夜空の星に あずけてゆくのさ
あしたになれば 僕を知ってる
奴らはいなくなり 僕は自由な 一人まえ


4.約束です

作詞:及川恒平
作曲:南こうせつ

夕暮れどき 雲はすみれの匂いがする
それはつましい 明日のまえぶれ
公園で街で 恋人たちは
時を忘れて 戯れる

時計台から 夜空に十二の音が溶ける
すると小さな 別れの始まり
家路を急ぐ 恋人たちに
時がやがて よみがえる

約束です しゃべりすぎた夜の様に
いくらか寂しい 気持のする時を
捨てないで下さい 恋人たちよ
愛する日々と 同じ様に


5.この秋に

作詞:喜多條忠
作曲:南こうせつ

君と別れて 三度目の秋
ほんのささいな 出来事なのに
傷つけあって 別れた二人
心の何処かで さよなら言って

明日が来ない 小さな店で
君の噂を 他人から聞いた
雨を見ながら 朝まで飲んで
指輪みつめて やつれていたと

昔の街まで 夜汽車にゆられ
訪ねた下宿の おやじが言った
あの娘 こないだ 一人で死んだ
胸に真赤な コスモスの花もえて

僕は悲しい 少女に会った
マッチ一つの あかりの中で
涙ぐんでた 少女を抱いた
この秋 僕には 子供が出来る


6.あの人の手紙

作詞:伊勢正三
作曲:南こうせつ

泳ぐ魚の群に 石を投げてみた
逃げる魚達には 何の罪があるの
でも今の私にはこうせずにはいられない
私の大事なあの人は 今は戦いの中
戦場への 招待券という ただ一枚の紙きれが
楽しい語らいの日々を 悲しい別れの日にした

殺されるかもしれない私の大事なあの人
私たち二人には何の罪があるの
耐えきれない毎日は とても長く感じて
涙も枯れた ある日突然帰ってきた人
ほんとにあなたなの さあ早くお部屋の中へ
あなたの好きな 白百合をかかさず
窓辺に 飾っていたわ

あなたのやさしいこの手は
とてもつめたく感じたけど
あなたは無理してほほえんで 私を抱いてくれた
でもすぐに時は流れて あの人は別れを告げる
いいのよ やさしいあなた 私にはもうわかっているの
ありがとう私のあの人
本当はもう死んでいるのでしょう
昨日 手紙がついたのあなたの 死を告げた手紙が


7.少女はいつも

作詞:山田つぐと
作曲:南こうせつ

少女はいつも 夢みていた
白いリボンを つけたら
あの人が迎えに 来てくれる
二人はやさしい 舟に乗って
誰も知らない あの国へ
あの人の胸に 抱かれて
変るもののない あの国へ
ふたりだけ どこまでも どこまでも

少女はいつも 想っていた
白いドレスを 着たら
あの人が迎えに 来てくれる
二人は輝く 星になって
誰も知らない あの国へ
あの人の胸に い抱かれて
変るもののない あの国へ
ふたりだけ どこまでも どこまでも


8.今はちがう季節

作詞:伊勢正三
作曲:南こうせつ

君と別れた夏は
こわれた置時計
そして風を忘れた
小さな風鈴

ブロックべいに沈む
夕陽がさびしくて
痛む胸の中に
すんでます秋が

君が笑ってる
君が走っている
アルバムの中
一つ二つ三つ

思い出見つけ
わざとむなしくなるのさ
何もかもが昔
今はちがう季節

そしてぼくの心も
変わってしまった
君と歩いた道を
一人歩いてみる

低い丘を回って
海に続く道
青い青い海も
夏にさよならして

誰も乗らないボートが
砂に並んでる
狭いあの部屋で
毎日暮らしたいと

口ぐせのように
いつも言ってたっけ
そんな君だから
好きなままでいたいの

沖を走る舟は
白い波を残し
水辺で遊ぶ鳥は
どこへ帰るのか


9.好きだった人

作詞:伊勢正三
作曲:南こうせつ

好きだった人
ブルージーンをはいていた
好きだった人
白いブーツをはいていた

好きだった人
ステテコもはいていた
好きだった人
Tシャツが似合ってた

失恋ということばは 知ってたけれど
失恋ということばは 知ってたけれど

好きだった人
金魚すくいがうまかった
好きだった人
ヤクザ映画に誘ってくれた

好きだった人
アベレージが 102 だった
好きだった人
ハンバーグを食べていた

失恋ということばは 知ってたけれど
失恋ということばは 知ってたけれど

好きだった人
つよがりをいっていた
好きだった人
一度だけキスしてくれた

好きだった人
レモンをかじってた
好きだった人
海を見つめて泣いていた

失恋ということばは 知ってたけれど
失恋ということばは 知ってたけれど

失恋ということばは 知ってたけれど
失恋ということばは 知ってたけれど

失恋ということばは 知ってたけれど
失恋ということばは 知ってたけれど


10.そんなとき

作詞:山田つぐと
作曲:南こうせつ

僕が何もすることもなく
風呂にゆくにも 早すぎる
そんな時 いつも階段をのぼる
やさしい足音をきく
僕にはあてのない 足音だけど
奴にはうれしい リズムなのさ

ドアの音を耳にして
僕はあてのない 街に出る
パチンコのむなしい 音をききながら
にがいタバコをふかして
僕にはあてのない 足音だけど
奴にはうれしい リズムなのさ

どのくらいたっただろう
どのくらいたっただろうか
あの日の君の笑顔が バラ色で
僕は空をかけているような
そんな時から そんな時から
僕にはあてのない 足音だけど
奴にはうれしい リズムなのさ


11.おもかげ色の空

作詞:伊勢正三
作曲:南こうせつ

別れた時 おもかげ色の空を忘れました
飲みかけのグラスに 映った空を忘れました
あの日の君は 笑いさえもうかべていた
まるでぼくの後姿に よろしくと言いながら

通り過ぎる風 それが季節とても寒い季節
ガラス窓のすき間みつけては
せまい部屋の中へ
なぜかさびしい夕暮れ時 風が止まり
そんな時にふと思い出す
やさしかった人を

いつか君が忘れていったレンガ色のコート
僕には少し短すぎて とても着れそうにない
想い出として 君はここにおいてゆこう
部屋のあかり消しながら また会うその日まで
また会うその日まで
また会うその日まで